獣化という性的嗜好について本気出して考察してみたり愛を語ってみた記事
「ぼくは“変身もの”が大好きです。
なぜ好きかというと、ぼくは、つねに動いているものが好きなのです。物体は、動くと形が変わります。いつまでも、静かだったり、止まっているものを見ると、ぼくは、イライラします。動いて、どんどん形が変わっていくと、ああ、生きているんだな、とぼくは認め、安心するのです。(中略)
こういうわけで“変身”は、ぼくのマンガの大きなひとつの要素です。調べてごらんになるとおわかりですが、どのマンガにも、どこかに、変身──姿を変えたもの──のテーマがかくれています。」(講談社版手塚治虫漫画全集『メタモルフォーゼ』あとがきより)
かつて漫画の神と呼ばれた手塚治虫が遺した言葉である。久しぶりの更新となる今回は私の初の獣化絵を交えながら、この魅力的な「獣化」というジャンルについて持論を語っていこうと思う。
そもそも獣化とは?
獣化…またの名をTF(TransFormationの略、またはTrans(transformationの略)+Fur(毛皮)、転じて獣化の意味合いを持つ造語の略)という。簡単に説明すると「動物に変身すること」である。この要素は幼児向けや一般向け作品でも多く取り入れられており、分かりやすいパニックネタとして扱われやすい(例:ドラえもん等)。また人外の力を得るという意味でバトル系作品のパワーアップ要素として扱われたり(例:ワンピース、キリングバイツ等)、そのほかに古代からの獣化の扱われ方に則って呪いや罰などによるものもある(例:美女と野獣、ピノキオ等)。このように作品によって扱われ方は様々であり、感じ方は違えど、皆も一度は目にしたことがある作品構成要素のひとつといえるだろう。
獣化の歴史
ある文明では人は古来より、自身等が持ち合わせていない獣の力に憧れを持っていた。その結果「神獣」として崇めた文明もある。その中で「自身の肉体が強くたくましい獣のようになればいいのに」と夢を抱いた者も少なくないはずである。またギリシャ神話では度々獣化の話が出てくる。浮気したから獣化させて星座にしたという話や、獣化してストーカーした話など多彩である。上で語った「呪術や罰などによる獣化」の原点とも言える。もう少し時代が進むと童話や昔話などでも数多く見られるようになる。その中でも極めつけは「狼男伝説」であろう。現代の獣化を取り扱う創作において圧倒的な普及率を誇る狼男はかつてギリシャ神話の時代から中世にかけてヨーロッパで信じられていたもので、その実態は当時ヨーロッパでの主食であったライ麦パンの保存状態の劣悪さからくる精神疾患などで凶暴化した人であったとされており、魔女狩りなどと共に多くの人があらぬ疑いをかけられたりした。が、これだけでは創作に狼男が多い理由にはならない。この後1900年代後半に出てきた狼男映画が特殊メイクなどで精巧な獣化を再現し、絶大な影響を与えたのが始まりとされている。日本においては特殊メイクの狼男映画はさほど多くないが、先程も名を挙げた手塚治虫らの作品が多大な影響を与え、多くの作品が生まれるきっかけのひとつとなったのではと推測している。
性的嗜好としての獣化の立ち位置
一般的な獣化についてはここまでの項目で話し終えた。では次に「獣化」という性的嗜好としての立ち位置について話していこう。正直なところ、獣化というジャンルはケモノジャンルのサブカルチャーという見方が強いと思われる。理由としてはケモノジャンルを嗜好とする者は少なからず「獣になりたい」という獣化願望を持っている事が多く、ひとまとめにされがちなのである。そしてその獣化願望は「自身の擬獣化」という形でイラストや着ぐるみなどで形となって表現される。
だが我々の求める獣化はこれではない。確かに我々獣化嗜好者は獣化願望は少なからず持ってるのは事実だが、それ以上に「他者を獣に変える事」に対する願望が強い傾向がある。かといって単なるキャラクターの擬獣化にとどまらず、獣に至るまでの「過程」つまり体が変わっていく様や、それに対する精神的な揺らぎが最高の好物と言えよう。「なんだただのドSかよ…」と思われても仕方ないが、その通りドSなのである。
変えられたいではなく、変えたいのだよ!受動的にではなく能動的になのだ!
私自身の獣化との出会い
どう魅力的なのか?
この性癖の特に重要な3つの項目をまとめるとこうなる。
肉体的変化
最初に挙げた手塚治虫の言葉がまさにこれである。主にシーケンスによる表現がなされる事が多い。この表現は仮に肉体強化のための自らの望んだ獣化であっても堪能できるため下二つに比べて窓口は広い。だがシーケンスによる獣化はメディアを問わず製作者に負担がかかる表現方法なので、面倒になって煙や光で隠して一瞬で済ませる手法を用いる作品の方が大多数といえる。余程こだわりのあるクリエーターでないと進んで描こうとは思わないのである。しかしながら体が徐々に獣へと変わっていく流動性のある表現はとてもすばらしいもので、毛が生えたり尻尾が生えたりマズルが伸びたり…その全てが芸術といえる。行き過ぎた美しさはエロティックへと繋がっていき、数多の肉体的フェチズムを刺激していくのである。私の場合だと尻と尻尾、マズルフェチなのでそれらを上手く描写している作品には惜しみない賞賛を送っている。
精神的変化
人以外の動物になるということは、当然人間の頃に感じなかった感情を抱くことが多いはずである。例えば同族のメスに発情したり、草食動物を餌と見たりなど様々である。この変化も獣化の非常に重要なポイントであり、獣化後 たまに精神から獣化する作品も存在する。 の最も重要な要素とも言える。そしてこれら二点を組み合わせたものが…
恥じらいや葛藤
何らかの力で肉体や精神が獣と化し、醜くなった見た目に嘆き、人だった頃に出来たことができなくなったり、人だった頃に考えつかなかった発想に至り、それを理性や人としての人格が恥と捉えたり葛藤し悩む事になる。可逆的に元に戻れる場合も、人前で再発してしまわないかという恐怖に苛まれる。獣化後の表現としてこれほど美味しい物は存在しないとまで言わしめるほどの甘味である。こちらはシーケンス描写のない煙や光による獣化などでも、手や鏡などを見て自身の姿を確認し驚愕するという表現がなされる作品が多いためただのギャグシーンのようなあっさりしたものから、この要素が作品の軸になってしまうほどディープなものまで数多く存在している。しかし肉体強化の自身が望んだ獣化の場合は初回のみこの描写があるか、逆に喜ぶ事の方が多い。また敵としての獣化能力者はその動物の特性を逆手に利用される展開が時々存在し、メリットとしての獣化がデメリットと化した時に悲嘆の台詞が挟まれることが稀にある。
私の絵に見る獣化へのこだわり
私には夢があった。絵を描き始めた時、いつか必ず「獣化絵を描く」と決めていた。それを実行に移したのは去年春。そこから長い時間試行錯誤した末、ようやく一般に公開する最初の獣化絵を描くことが出来た。時間がかかった理由としては、人と獣の中間という不慣れな作風なのと、4枚に及ぶシーケンス作品になったからである。
今回私が最初の獣化絵の対象に選んだキャラはブラッディロアシリーズのマーベルというキャラである。
本名ジャンヌ・ガドウ。ハタチ前後の男勝りな女性の元傭兵で、義父にあたるアラン・ガドウが同じ傭兵をしていたことに起因する。ガドウはライオンの獣人であるがマーベルとは血縁関係ではないため、彼女はライオンの獣人ではなく…
豹である。しなやかでかっこよくそれでいてエロスを持ち併せているデザインに一目惚れして、狼の獣人がいるのにも関わらずそれを差し置いてこのゲームで最も好きなキャラになった。間違いなく私の獣化性癖を開拓したキャラの一人に数えられるほどの影響力を持っている。ちなみにゲーム本編での性能も結構高く強キャラ扱いらしい。
原作ゲームのマーベルさん超ドスケベだからみんな見て pic.twitter.com/EYNTpUR9WJ
— フェリルガルガンたそ (@iDuSkFeRiRoC) 2017年10月24日
ゲームグラフィックだとこんな感じ。むちむちした尻を突き破って生える尻尾やお腹側が白くなってる胸や臍などがそれはもう性的で、これに獣化補正が加わる事で唯一無二の魅力を持っていると言える。
しかし、このゲームではひとつ残念なポイントがある。獣化前も獣化後も非常に素晴らしいデザインであるが、レスポンス命の格闘ゲーム故にいちいち獣化する過程のシーンを描いている余裕はないのである。もちろん本人達が獣化を嫌がるシーンも存在しない(ある一人のキャラを除いて)。この点の補完としてOPムービーの一部や漫画版ブラロアのザ・ファングでは変化中を描いているシーンがごく僅かに見受けられる。が、それは私の見たいマーベルの獣化シーンではないのであまりそそられるものはなかった。近年、海外のネット上のイラストサイトでマーベルの獣化過程の絵が数件投稿されているのを発見し、長年の欲求が叶い愉悦に浸ることが出来た。
しかしながら、それでも完全に満たさえる事はない。理由は「私の思い描く理想」ではないからだ。ならばどうするか…?答えはひとつ
「自分で描くしかない」
こうして私の公に出す最初の獣化絵が着工した。そして長い時を経て出来上がったものがこちらである。※R-15的な表現があるので若干注意
1枚目。
腕にかすかな毛が生え、爪が伸びている。よく見ると模様が見える。彼女はそれを眼に捉えると動揺を初めた。この胸騒ぎこそ獣化の前兆である。
この手のシーケンス絵は1枚目で何も起きていない0の状態から始める作品もあるが、私は人を描くのが苦手なのもあってか1枚目からわずかに獣化し始めている方が好きである。
2枚目。
左腕の先は変化を終え、体へと変化が迫っている。右腕も四本指へと変化しかけ、肩側と挟み撃ちになるように人の部分を消していく。また右胸や腰が豹の毛に覆われ、右太腿は変形で少し破れ豹になった肌を覗かせる。右足先も変化を始め、逆関節に骨格が変化しながら小指を残すのみとなっている。そして顔も獣化を始め、左半分が毛に覆われ豹の眼になっている。マズルも形成され、耳も黒い毛が生えている。
本人の戸惑いの表情もより強くして、身体のあちこちをアシンメトリー的に獣化させてみた。マズルは徐々に生えるほうが好きなのだが、この絵が正面絵だったのであまり映えないと思い左始動の半形成にしてみた。あと、部分的に破りながら少しだけ服の丈を短くしていくことで身体が大きくなっている事も表現している。
3枚目。
上半身は顔を除き完全に獣化し、肥大化する胸に服が悲鳴を上げている。胸を抑える形で横になると今度は抑えつけていた尻が獣化しだし、あちこちで肥大化した尻肉がズボンを破り、ついには尾てい骨から尻尾が生える。右足は肉球が形成され完全な豹の足になろうとしている。左足も肉球ができかけ、次第に豹の足へと近づいている。顔はマズルが完全に形成され、ネコ科の髭が生え始め、顔の左側も徐々に豹の毛に侵食されつつある。大きく空けた口には牙も形成され、耳も形を変えながら頭の上へと移動している。豹の眼になりつつある左目から流れる涙は人としての最後の抵抗である。
最もこだわった絵である。今までの3枚が抱きまくら風になっていたのは全てこの絵のためだった。尻フェチ全開のこだわりぬいた尻と尻尾の描写が特に肝で、表情や足先の変化や肩と胸の描写にもこだわりが詰まった作品。
4枚目。
髪が消え、身体は完全に豹の獣人と化した。人だった頃の面影はボロボロの衣服だけである。長い尻尾が足に巻き付き、異物かと思いきやそれは他ならぬマーベルの尻から伸びている尻尾である。太腿を変わり果てた腕で手繰り寄せても、あるのは毛に覆われた獣の足である。人の頃よりくっきりと割れた腹筋とボリュームアップした胸も白い毛に覆われ、彼女は自身の肉体の変化を噛みしめるのだった。
獣化完了後の絵。フェチズムの塊で構成されている。尻、足裏、太腿、腹筋、臍、胸、腋、尻尾を一枚で全部描くために考えだした構図で、そのために抱きまくら風を撤廃した。特に腋と腹筋には並々ならぬこだわりを凝縮している。なお、これには服を全て剥いだ全裸差分があるが、こちらはR-18なのでリンクだけ張っておく。
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=65584649
描いた感想としては、予想以上のものが出来上がったなと感じた。「性欲は絵を上手くする」というのは強ち間違っていない。逆にまだまだ直したい所もあるので、次の作品ではさらに自身のフェチに直結するようなものを描きたいと考えている。世の中に足りない獣化絵を自身で補うことの素晴らしさは是非とも世に広めていきたい。今後も新たな作品を完成させたらこちらのブログで詳細を書こうと思う。
pixivリンクも貼っておく。こちらには2Pカラーの雪豹差分もあるのでチェックしてもらいたい。
特におすすめの獣化作品
このコーナーでは私が強くプッシュする版権ものの獣化作品を紹介する。上に挙げたコンテンツの紹介もここに記載する。
1、ディズニー映画「ピノキオ」のロバ化
Pinochio: Jackass transformation
Donkey transformation from Pinocchio - 'American Film Investment Group' version (1992?)
2,ゲゲゲの鬼太郎第四作110話「八百八狸の反乱(前編)」の狸化
妖怪を取り扱った作品では未だに最大手の「ゲゲゲの鬼太郎」の狸化シーン。私個人としては全ての獣化アニメ中未だに一番好きなシーケンスかもしれない程の作品。
原作では狸になるというより毛が生えて腹が膨れるくらいで終わっていて過去のアニメ化でもその程度におさまっているのを、四期はわざわざ獣化へとアレンジしてくれているのも高く評価できる。さらにワンポイントで狸化したお腹が服を飛び出して毛が出たり臍付近がチラッと見えたりするなどチラリズムを持ち合わせ、毛に覆われた顔は鼻がイヌ科のそれのように黒く変化し、目の色が他の狸達と同じように変化し周りには隈も現れる造形的掴みもバッチリな上に、毛の生え方やお腹の膨れ方、さらには戻り方の演出や描写そして声も非常に素晴らしい。
ちなみにこの話、今まで三度アニメ化されており二期と五期以外存在している。(ただし五期には素晴らしい恐竜化があるためそちらも勧めておく)。また、先日鬼太郎アニメ六期が発表されており、このエピソードの再アニメ化に非常に期待がかかる。もし該当回があったらまたこちらで取り上げたい。
3,ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスのウルフリンク
太腿の内側から尻尾の付け根まで白くなっており非常にセクシーで、これに四つ足狼への獣化という要素が加わってまさにフェチズムの暴力とでも言うべき誰も手がつけられないキャラとなっている。さらに漫画版ではリンクが喋る上にミドナの煽りも増えているため、極上の獣化後の反応を堪能できる。
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 2 (てんとう虫コミックススペシャル)
- 作者: 任天堂,姫川明
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/12/28
- メディア: コミック
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こちらの第二巻が該当回である。ちなみに動画にもある原作の初獣化シーンは一巻のラストに載っているので併せてオススメしたい。余談だがこの漫画の作者の姫川さんは大のケモノ(特に狼)好きで、獣化も好きであるためか漫画版神々のトライフォースでもリンクが獣化するシーンがある。 ゼルダシリーズは獣化抜きでもとにかく面白いので(特に最新作ブレスオブザワイルドは様々な意味で度肝を抜かれた)知らない方にはぜひやってもらいたい名作ゲームである。
4,アメイジングスパイダーマンシニスターシックス第六話「リザード・ウイルス」
現在放送中の期待作品
キリングバイツ
月刊ヒーローズで連載中の同作品のアニメ版。2018年1月からTBS系で金曜深夜に放送中である。amazonプライムでも見ることができる。私はこの作品の原作コミックを全巻購入するほど気に入っており、簡潔に言うと「獣化手術の存在する世界での獣人達の戦いを描いた作品」そう、ドンピシャの獣化作品である。獣化度合いがキャラによって異なり、女はケモミミ尻尾+手足に毛が生える程度でけものフレンズをもう少し獣寄りにした程度で終わるが、男は顔まで変化する全身獣化キャラが多い。私個人はもちろん全身獣化の方が嬉しいし、獣化シーンもここ最近のアニメの中では相当丁寧な方である。執筆時点で4話まで放映されており、今のところライオンや熊の獣化シーンが私的に非常に高評価だ。このPVの0:25~が該当シーンの一部である。今後もまだまだ獣化シーンは多いので迫力ある映像と共に期待していきたいところである。
あとがき
獣化とは実に魅力的な性的嗜好である。長い歴史の中で人々が魅了され、また魅了された人が新たな作品を作る。そういった古来より受け継がれる伝統ある嗜好といえる。私もこの記事によって誰かに獣化の素晴らしさを伝えることが出来たなら、それで満足である。ここまで読んでくれた物好きには改めて感謝の意を表する。ありがとう、これからも獣化という嗜好を共に愛して生きていこう。
では、今日はこのへんで筆を擱くとしよう。次回は豊橋で先日行われた着ぐるみコンベンション「JMoF」についての紹介をします。