魔狼の黙示録

光り輝く天狼の庭に対を成す魔狼の深淵。招かれし者は魔狼の真の姿を刮目せん

ガルパンとズートピアで色々と吹っ切れた話

「無闇に流行りモノに乗らない」

現在も続く私のポリシーである。良く言えば思考に芯がある。悪く言えば世間知らずといえる。幼少期、私は親(ちなみに母)に特定のアニメを何度も見せられていた。当時テレビで放送していた番組をほとんど見ていなかったため、確実に知っている世代であるのにも関わらずヱヴァンゲリヲンデジモン等を一切知らずに育った。ポケモンも偶然病室で目にすることがなければ知らずに育っていたかもしれない。この記事では、そんな浮世な私が流行を嫌いになり、避けるようになってからある二本の映画でその思想を覆すことになるまでの経緯を語っていこう。

 

・流行嫌いになるまで

そんな親によく見せられていたものは映画ならばディズニー(メジャーな物はほとんど見た)、ドラえもん(これは気に入って現在まで全作品視聴している)、ジブリの一部作品(ナウシカラピュタとトトロもののけが最も多く見た)等。TVアニメならば銀河鉄道999、キャプテンハーロックムーミン(新旧両方)、ドラえもん(ビデオから入り唯一リアルタイムで見ていたアニメ)、4期鬼太郎等。どれも繰り返し視聴した。その結果、他の子と好みがズレ過ぎて幼稚園の裏図書を先生に頼んで借りた経験もある。なお実写映画やドラマはほとんど見ることがなかった。親がアニオタだったのも大きいかもしれない。

この中のものは少なからず現在の趣味や性癖に影響を与えた。例えば獣化性癖はピノキオが発端で、ドラえもん鬼太郎も性癖拡大に貢献している。中でもにディズニーとドラえもんは私の人生のバイブルといってもいいほど色々な影響を与えており、ポケモンとともに幼少期~小学生時代を支えていた。が、その後成長するにつれ周囲を知るようになるにつれ自身の好みと周囲の”ズレ”が気になり始め、中学に入った頃から周囲に合わせるために話題の合うテレビ番組を多く見るようになった。

けれど不可能だった。

10年、それも幼少期から培われた好みをほんの一年程度で捻じ曲げる事なんて無理な上に、そもそも人に合わせる事が大嫌いだった。それからはオンリーワンの道を歩むようになっていき、高校の時点でほとんど趣味が合う友達はいなかったが、Twitterの登場で事態は変わった。Twitterのおかげで自分と同じ趣味を持つ人とネットの海を超えた交流ができるようになった。この時初めて自身の趣味をありのままに話す事ができる"友"を持つことができた。それまでは同じ趣味を持つ人をネット上で見ることはできても、触れ合うことができなかったため、革命的な出来事となった。しかしTwitterを初めておよそ2年、ある流行に乗ってそれに首を突っ込みすぎた結果、私は盛大に叩かれ村八分された。正直あの時の出来事は今でも忘れられないほどの胸糞で、この出来事で今まで築きあげた関係の多くが崩壊し、そして自ら壊した。これ以降「流行に乗る」という行為に嫌悪感を覚えるようになり、元々よく鞍替えするミーハーな腐女子やオタクなどが大嫌いだったのもあって完全に流行を拒絶するようになった。前回の記事で書いたとおり、パズドラのみは例外で流行中に始め、この後からは「興味が湧いた場合は流行中のものでも始める」という基準になった。

 

・何がそんなに嫌なのか?

上記でも書いたとおり、私はミーハーな奴が死ぬほど憎い。原因は中高生時代のクラスにそういう女がいたからである。一時の流行で好きアピールするも、また別の流行が来るとそっちに鞍替えし、また好きアピール。要は「なんでも好き」という思想が嫌いなのである。これに類する顔だけで選ぶアイドルオタクやBLのある作品を根こそぎ食い荒らす腐女子や1クールで嫁が変わるオタクなどは本当に大嫌いである。なぜ愛を持ってずっと愛し続けられないのか…。私は一途な人間は応援したくなるし、私も一途なのでその真逆の性質を持つミーハーは憎んでも憎みきれない存在なのである。このミーハーと同じになりたくないがために拒絶してきた流行も数多くあった。また別の例もある。流行というものは一見さんからコアなファンまで多くの人が乗るもので、それ故に悪い輩も大勢現れ治安を乱す。最近では「スプラトゥーン」にその傾向が強く見受けられる。要は民度の低さがあるので流行に乗りたくないという考えもある。が、スプラトゥーンの場合それでも興味は多少なりとも湧いた方で、実際にやらせてもらったりもした。だがあまりにひどい3D酔いをした結果「このゲームは私に向いてない」と判断し、身を引いた。もちろん例外もあり、パズドラやグラブルも正直民度はいいとは思えないが、自分に合っているという理由で今日まで続けている。(パズドラはもう引退寸前だけど)

 

ガルパンが教えてくれた「調べもしないで拒絶する勿体なさ

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ガルパンはいいぞ」

この言葉を聞いたことがある読者は大勢いるだろう。これは「劇場版ガールズアンドパンツァー」を見たツイッタラーが口々に放った映画の感想である。調べたところ元ネタはマッドマックスの感想ツイートで「マッドマックスはいいぞ」と言われていたことらしいが、これにさらに元ネタがあるのかどうかは不明。それはともかく、このツイートは年末~年始にかけて嫌なほど見かけたため、当然流行嫌いな私は嫌悪感しか抱かなかった。

 ↓当時の私のツイートである。

 

一応実態を知りたくてポスターは見たものの、初見は艦これの戦車版(つまり戦車の擬人化)だと思い込んでスルー。以後無縁だと思いこんでいた。こんな状況を変えたのは3月末の京都旅行であるフォロワー宅にお邪魔したのだが、そこで数日泊まる間に唐突に「ガルパン見ようぜ」と言われ、TVでアニメのガルパンをかけたのである。最初は乗り気ではなく、正直どうでも良かった。が、見ていくうちに内容に徐々にのめり込み、最終的にアニメ全話+OVAを完走し京都を去った。ただの萌系アニメだと思っていたらものすごく熱い展開ばかりのアニメで、さらに戦車の解説も本格的でキャラもみんないい子で深夜アニメとしては「まどマギ」「ぎんぎつね」以来久しぶりにハマった作品となった。ここまでアニメに熱くなっておいて劇場版を見逃すわけにはいかないと思い、旅行から戻った数日後、公開終了前ギリギリの劇場版ガルパン4DXを駆け込み鑑賞した。アニメを上回る熱い展開とまとまりの良さ、そして4DXの与えてくれるほんとに戦車に乗っているかのような臨場感が最高にマッチし、極上の映画体験となった。正直4DXがこれ以上マッチする作品が他にあるのか知りたいレベルでものすごく楽しかった。あまりの楽しさと熱さで私が導き出した感想はただひとつ。

 

結果的にこれが最善の答えだった。まだ公開中なので安易にネタバレできない、褒めるところが多すぎる。だから全てをひっくるめてこういうしかなかった。この日、調べもせずに拒絶していた私はなんて愚かなことをしていたのだろうと深く反省し、「流行るものにはそれなりの理由がかならずある」ということを身をもって知った。そして今後はただ流行を往なすにとどまらず、一度しっかり調べてみようと決意を新たにしたのだった。私の思想を覆すきっかけになる確かな熱量を持った作品に出会えて本当に良かった。が、私は結構頑固なので、決意を確かなものにするためにもう一発起爆剤が必要だった。

 

 ズートピアが教えてくれた「見た目で判断してはいけない」ということ

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ズートピアという映画をご存知だろうか?7/15まで公開していた最新のディズニー映画である。そう、ディズニーである。この記事をここまで読んできた熱心な読者の皆は気付いてると思うが「ディズニーは私の人生のバイブル」とも言える程絶大な影響を幼少期に与えた作品群を作った会社である。人生のバイブルとは言うが、実のところここ数年はディズニー作品を見向きもしていなかった。理由として、ライオンキング以降の作品を親が気に入らず、ビデオテープやDVDを買わなかったために偶然TVで1、2回見ればいい方であった。(ただしトイストーリーだけは例外で、シリーズ通してかなりの回数見た)。趣味がポケモン、そしてオオカミに流れていく中で、TFの元祖とも言えるピノキオ以外のディズニー作品は次第に忘れ去られて行った。そんな中で思い出に火を付けて興味を再燃させたのが2009年から始めた「キングダムハーツ」である。これのおかげで薄れていた興味は幾分取り戻せた。が、それは見たことのある古い作品に限った話で最新の作品は殆ど興味がなかった。「アナと雪の女王」が出るまでは…

興味がなかった私でも強烈に惹かれたのがこのアナ雪で、主題歌兼挿入歌の「Let it go」は当時流行語大賞に上り詰めるほど一大ブームを巻き起こした。古き良きディズニーのミュージカル性と楽曲クオリティに惹かれ、私もかなり気に入った楽曲である。私の親も久しぶりに映画館まで足を運ぶほど心にヒットしたらしく、BDまで買ってしまうほど。ちなみに私は本編をまだ"一度も"見たことがない。興味が無いわけではなくむしろものすごく見たいのだが、親が貸してくれないのである。今度レンタルしようかな…?

前置きが長くなったが、ここからはズートピアの話。ガルパンで大きな衝撃を受けたのにも関わらず私は「ディズニーのケモノキャラ可愛くないから無理」と見たまんまの言葉を吐き捨てて公開後しばらく見に行くことはなかった。というより、見るつもりなんて毛頭なかった。理由はちょうど同じ期間で「遊戯王」が公開されており、そちらを見に行く前提で映画館に足を運んでいたからである。「ズートピア見るくらいなら遊戯王見る」という考えだった。確かにディズニーのケモノキャラはデザインがやや癖があり、直接的に萌えへと昇華できるものではない。例えばピノキオの場合は「ロバになる」という展開自体に性的興奮を抱くのであってロバの見た目に興奮したことは過去に一度もない。美女と野獣の野獣さんも「元人間」というスパイスをふりかけることによって美味しく感じるのである。だからディズニーのよくいる擬人化動物キャラ達(ズートピアの登場人物含む)に見た目で惹かれた事は一度もなかった。それでも見たくなった理由は「ネット上での評判の良さ」である。ガルパンを見て以降流行には理由がある事を学んだ私はTwitterをはじめとするいくつもの高評価の声の理由を求めていくつかのニュースサイトをめぐった結果、「見てみたい」という欲求が高まった。その結果遊戯王を見に行くついでに鑑賞することにしたのである。結果から言うと…

なんだこれは、面白すぎる…。

完全に度肝を抜かれた。デザインを超えてキャラを魅力的にしっかりと立たせながら重いテーマを扱い、怒涛の展開に軽快なジョークを織り交ぜつつ飽きを感じさせない恐ろしい完成度の映画だった。扱うテーマも「差別、偏見」など夢や希望のファンタジーのイメージが強かったディズニーの中でも異質すぎるテーマであり、さらにはあのアナ雪のセリフをセルフオマージュしながら過去のディズニー映画を全否定するシーンは驚きを超えて笑いが出た。それでも締めるところはしっかり締めるまとまりの良さはさすが「ディズニーマジック」だなと感心した。そして何よりキャラクターの愛らしさが強かった。特に主役を務めるウサギのジュディとキツネのニックが名コンビ過ぎたのである。ジュディは種族の壁を超えながら夢を叶える強さを持ったすごく格好いいキャラ。そしてニックは暗い過去を持ちつつも優しい上に森川氏のイケボで更にキツネ…こんなキャラ、好きにならないわけがない。今作どころかディズニー最大の萌えキャラだった。他にも語り尽くせないほど魅力的な映画で、見た目で"偏見"していた私の思想を思い切りひっくり返してくれる超名作だった。ガルパンズートピアのおかげで、流行をただ拒絶するだけだった私は「調べて、面白そうなら遠慮せず飛び込む」という新しい人生の楽しみ方を教えてもらった。

余談だが去年から今年にかけて、映画館へ足を運ぶフットワークは驚くほど軽くなった。去年夏から現在までに去年のポケモン映画(2回)、バケモノの子BORUTOガルパン遊戯王(2回)、ズートピア(2回)と計9回も行っている。ポケモン映画を最初に見たのはお盆だったので、それまでに行く予定の今年のポケモン映画とジャングルブックを合わせると計11回になる。映画館なんて1年で2回行けば多い方だった私にとってこの一年は異常なほど映画館へ行っている。正直敷居が高いと今でも思っているので、興味ある作品をバンバン見られるように、さらにフットワークを軽くしてもいいのかもしれない。まさに今年は「映画の夜明け」だ。

 

・結論

 大層なこと語っていたが、実のところガルパンズートピアの感想を書きたかっただけの記事である。この2つの映画は今後私の思想に思い切りメスを入れてくれた作品として記念碑になるであろう。それくらいのインパクトを確かに持っていた。だから、もっと流行は積極的に調べて、飛び込む勇気を持ちたい。そう感じた春の日だった。